■投資家心は微妙:反対に動きたし乗り遅れたくもなし

よく分かります。相場の指南書を開けば、「人と同じことはするな」とあます。しかし、今ここで反対に動くと儲け損ねるのではないか、折角の買いチャンスを逃すのではないかと不安心理が頭をかすめます。
相場に対する「基本」や「教え」は非常に大切です。しかし、そうした基本・教えがすべての場面で当てはまる、ということではありません。学んで、自分なりの、これぞという原理原則を身につけることは非常に大切なことです。が、その原理原則がいつでも役立つ、ということではありません。そこには時間が存在しているからやっかいです。長期で見れば、その通りでも短期的な観点では、むしろ当てはまらないで外れることの方が多いのです。時代を超えて、おじいさん、おばあさんが言っていた通りになったという教えは沢山あるでしょう。しかし、相場の世界では20年先、30年先にその通りとなってもあまり意味のないことです。できるだけ短期、いくら長くても3年がメドです。
景気→企業業績→株価、という基本があります。その通り、大変大切なものです。3年程度の期間の中では、ほぼ、この基本通りの動きです。景気が良くなれば企業の業績が良くなり株価が上昇する。反対に景気が悪くなれば業績が悪化し株価が下がる。しかし、09年2,3月に起きたことは違いました。「景気の一段の悪化は避けられない」。だから、「日経平均は5000円台まで下がる」という見方でした。
今になってみれば、株価が景気の回復を読んでいた、と言えます。あの頃、景気一段の悪化→企業業績のいっそうの悪化→株価下落の基本通りに動いた人は儲けを逃しました。空売りした人は大きな損です。あの時点で、基本とは反対に動いた人は儲かったはずです。そして今、今度は景気本格回復→企業業績の回復→株価本格上昇という見方が多くの投資家に強くなっています。
「いやいや、まだ本物の回復ではない」と反対に考える気持ちもあるでしょう。一方では、「ハイブリッド車も売れていることだし、これだけ多くの人が強く言っているのだから素直に強気にならなくてはいけない」気持ちもあるでしょう。残念ながら答えはありません。
相場は人間社会の営みの縮図ともいわれます。清く・美しくの、基本通りなら社会には犯罪はありません。特に、人の社会では、乗り遅れたくない気持ちが強いものです。そこにつけこんで詐欺も起きます。相場では多くの人がバスに乗り遅れまいとした時に天井が形成されます。そのときこそ、人の反対を行く勇気が大切でしょう。
2009-06-16 15:28に掲載の記事
posted by 相場格言 at 12:17
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